「どうしたの?薫、食欲ないの?」


「うん……。菜摘、あたしたちもうダメかも」


「えー、なんで?
昨日も一緒に帰ってたでしょ?あのあと何かあったの?もしかして、喧嘩でもしたとか?」


「ううん。そんなんじゃない。でも、怒らせちゃった」


「――怒らせた?田口くんを怒らせるようなことでもしたの?」


ぶるぶる頭を横に振る薫には、いつもの元気がない。

「どうしたの?本当に。
言いたくなければ、無理には聞かないけど、いつも元気な薫が元気ないとやっぱり心配だよ。私でよければ、話くらいは聞けるよ」


「うん……」


と言ったまま、薫は黙り込んだ。