オフサイド

どれくらい経っただろう。 


廊下が騒がしくなり、スリッパの音や話し声が聞こえてきたかと思ったら、看護師さんが夕食を運んで来てくれた。 



「大野さん、これ夕食ね。食べ終わったらナースコールをするか、誰か近くの人に食器をお願いしてね」 


「はい、分かりました」 


短いやり取りのあと、足下にある細長いテーブルの上に夕食が置かれた。 



今夜は、肉じゃがに鯖の塩焼き、ご飯と豆腐の味噌汁だ。


育ち盛りの裕也には、物足りなそうなメニューだった。


「菜摘、悪いけど、その棚からコップ出してくれる?」 


「ここ?」


指差された棚からマグカップを取り出し、テーブルの上へ置くと、


すぐさま、食事の世話をして下さるおばさんがやかんからお茶を注いでくれた。