「おぉ!裕也に見舞い客だよ」
「誰?」
アディダスの白いエナメルバックを肩から斜め掛けにした修くんは、小声で囁いた。
「とりあえず、来ちゃったのは仕方ないから中に入って!俺はもう帰るから」
「えっ……」
それって、来てはいけなかったっていうこと?
ねぇ、修くん。私、来ない方がよかったの?
声に出して聞きたかったけど、返事が怖くて聞けなかった。
――途端、不安で身体が震えだした。
「とにかく、中に入ろう!窓側のベッドにいるから」
修くんに背中を押され、おずおずと病室の中へ入って行った。
南向きに面したその部屋は、白壁で所々に木の温かみが感じられる暖かい部屋だった。
それが、せめてもの救いだった。


