「菜摘、薫、早くー!」 裏で、香苗や奈緒が手招きしている。 「ひとまず、お店の中に入っててくれる?12時で交替だから」 「わかった」 鶯色の暖簾をくぐり、二人が店内に入ると、すぐさま私たちは裏手に回った。 「これ、着て」 差し出されたフリルのついた真っ白なミニエプロンに目が点になった。 「こんなの着るの?」 「うん」 事もなげに頷くみんなに驚きながらも、浴衣の上からそれを身に纏い、湯呑みとおしぼりを載せたトレイにお茶を注ごうとしたときだった――。