オフサイド

電車を降りるまで、ずっと携帯は握り締められたままだった。 


いつもと同じはずなのに、車窓から見える景色が、何か特別なように思えてくる。 

眩しいオレンジ色の太陽も、私の背中をポンっと押してくれているようで、目を細めながらそれを見つめた。 


――着いた。


ドアが開くと同時に、階段を急ぎ足で降りていき、改札口を摺り抜ける。


人混みから少し離れた旅行代理店の前で、一度、大きく深呼吸してから通話ボタンを押した。 


プップップップッ…… 


機械音が、静かに谺する。