放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め

なんて説明して良いのかわからない時は、せめて素直になるべきだ。
パソコンは素直に接するに値する奴だ。
パソコンへの敬意が俺を正直にさせる。

「なんて言ったら適切なのかはわからないが、ありのままを話そうと思う。伝われば幸いなんだが…」

パソコンは優しい顔のまま頷いた。
「へえ、聞きますから、思ったまま話して下せえ」

俺はパソコンの心の広さを感じながら、覚悟を決めて言った。

「その、俺が、見たいのは、臨戦態勢のチョリソーなのだ。臨戦態勢のチョリソーの全貌が知りたいのだ。全貌。どのくらいの大きさなのか。どのくらいの太さなのか。俺は今日学校でクラスメートや上級生のチョリソーをチェックしたのだが、どれも臨戦態勢のチョリソーではなかった。俺は…、俺は知る必要があるのだ。臨戦態勢のチョリソーがどのようなものか。そしてそれは俺のチョリソーと違うのか、同じなのか、それを俺は知らねばならないのだ。貴様に無理を言い、この危険な航海をしてはるばる大陸まで来たのもそういう理由なのだ。だから、ただモロ見えではだめなのだ、その臨戦態勢のチョリソーの全貌がはかれるような、そんな画像を求めているのだ」

不安を押し殺すように俺は一息で言った。
パソコンに伝わっただろうか?
そして、もし伝わったとして軽蔑されはしないだろうか?

…。

素直に打ち明けるべきではなかったのかもしれない。
俺は少なからず後悔した。

しばしの沈黙の後パソコンがゆっくりと口を開いた。

「言葉の意味はよくわかりません…」

パソコンの返答を聞き、やはり言うべきではなかったと思った。

が、しかしパソコンは続けてこう言った。

「言葉の意味はよくわかりませんが、わかります。船長があっしに素直に打ち明けて下さったのは、痛いほどわかりました。あっしは、あっしはただ、船長に従いついて行くだけです。どこまでも、船長の求める宝が見つかるまで、あっしはただついて行きたいです。ありがとうございます。こんなあっしに、素直に打ち明けて下さってありがとうごzaimaす」

言い終わるとパソコンは俺から目をそらした。
俺もパソコンに背を向ける。

背中から聞こえてくるのは、パソコンのむせび泣く声。

俺はちからいっぱい歯を食いしばった。
嗚咽が漏れないように…。