放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め

どれくらいの時が流れたのだろうか?
あっという間な気もするし、とてつもなく長かった気もする。

気がつくといつしか潮の匂いが変わっていた。

近いのだ。

大陸はもうすぐそこにある。

高鳴る心臓。

俺の鼓動は尋常ではなかった。

心拍数は2000くらいか?

毎分2000回ということは…、60秒で割るから…、1秒間に30回強か?

…。

そんなわけはないな。
1秒間に30回強も心臓が動いたら大事だ。

心拍数は120くらいかな。


う~ん、とにかく高鳴っている。

俺の心臓は高鳴っているのだ!


俺の上気した顔を見てか、パソコンが話しかけてきた。

「船長、そろそろ大陸が近いですが…」

俺はパソコンの顔を睨みつけるように言ってやった。

「ああ、わかってるさ、潮の香りが違うからな」

パソコンは俺の表情を満足げに見ながら言う。

「さすがは船長、大陸を目前にしても青ざめませんな」

俺は、船長としての威厳を見せるためにパソコンに怒鳴った。

「当然だ!俺の心臓は高鳴っているぞ!俺の今の心拍数は2000だ!」

パソコンは少し困った顔をした後、再び笑顔になり言った。

「さすがは、船長です」