パソコンの呟きに耳を傾ける俺。
パソコンは優しさからか、両膝をついた俺を決して見ようとしない。
「なんでもね…、そこではすべて包み隠さず、そう、開けっぴろげで置いてあるそうです。モザイクなんてもんは必要ないんですな。で…、人々はそれを“自由”と呼んでいるらしいです」
なんだこの温もりは?
包み込むようなパソコンの温もり。
初めて航海する間柄なのに、パソコンの俺に対する温かさはなんだ?
パソコンは俺を落ち着かせるような声で続ける。
「その国があるのは大陸です…、この海のはるかはるか向こうには、モザイク無しの、そんな夢のようなフリーダムがあるらしいのです。ぼっちゃ…、船長!目指しましょう!大陸を目指しましょう!」
海の向こうの噂は俺も耳にしたことがあった。
しかし、海を渡るには高いスキルが必要だとも聞いていた。
そして大陸では“自由”とともにたくさんの恐ろしいウィルスもいるらしいと。
俺は未熟だ。
ただ虚勢を張っているだけの、いきがった若造に過ぎない。
それは自分が一番知っている。
大陸。
フリーダム。
危険だ。今の俺にそれはあまりにも危険すぎる。
消えてしまいそうなか細い声で俺はパソコンに言った。
「お前の…、お前の身体にもしものことがあるかもしれない…、俺は力がないから、お前を壊してしまうかもしれない…」
ここでパソコンは膝をついた俺を初めて見た。
そして、恐いくらい真剣な眼差しで俺に告げた。
「かまわないです。あっしはかまいません、ぼ…、船長のお役に立てるのであれば、あっしはたとえこの身が壊れようともかまいません」
俺は何も言えない。
ただ下を見ていることしか出来なかった。
パソコンは少し優しい声になって、言った。
「ぼっちゃま、じゃなかった船長。船長は若いのです。そして若さは無茶をともないます。なるほど無茶ゆえに失敗もするでしょう。世間の人々はそんな若さを笑ったりするかもしれません。…。けどね、ぼっちゃま…、して下さい…。ぼっちゃま、ぼっちゃまは無茶をしなくてはいけません。あっしが付いてますから、ぼっちゃまには、あっしが付いてますから!」
パソコンは優しさからか、両膝をついた俺を決して見ようとしない。
「なんでもね…、そこではすべて包み隠さず、そう、開けっぴろげで置いてあるそうです。モザイクなんてもんは必要ないんですな。で…、人々はそれを“自由”と呼んでいるらしいです」
なんだこの温もりは?
包み込むようなパソコンの温もり。
初めて航海する間柄なのに、パソコンの俺に対する温かさはなんだ?
パソコンは俺を落ち着かせるような声で続ける。
「その国があるのは大陸です…、この海のはるかはるか向こうには、モザイク無しの、そんな夢のようなフリーダムがあるらしいのです。ぼっちゃ…、船長!目指しましょう!大陸を目指しましょう!」
海の向こうの噂は俺も耳にしたことがあった。
しかし、海を渡るには高いスキルが必要だとも聞いていた。
そして大陸では“自由”とともにたくさんの恐ろしいウィルスもいるらしいと。
俺は未熟だ。
ただ虚勢を張っているだけの、いきがった若造に過ぎない。
それは自分が一番知っている。
大陸。
フリーダム。
危険だ。今の俺にそれはあまりにも危険すぎる。
消えてしまいそうなか細い声で俺はパソコンに言った。
「お前の…、お前の身体にもしものことがあるかもしれない…、俺は力がないから、お前を壊してしまうかもしれない…」
ここでパソコンは膝をついた俺を初めて見た。
そして、恐いくらい真剣な眼差しで俺に告げた。
「かまわないです。あっしはかまいません、ぼ…、船長のお役に立てるのであれば、あっしはたとえこの身が壊れようともかまいません」
俺は何も言えない。
ただ下を見ていることしか出来なかった。
パソコンは少し優しい声になって、言った。
「ぼっちゃま、じゃなかった船長。船長は若いのです。そして若さは無茶をともないます。なるほど無茶ゆえに失敗もするでしょう。世間の人々はそんな若さを笑ったりするかもしれません。…。けどね、ぼっちゃま…、して下さい…。ぼっちゃま、ぼっちゃまは無茶をしなくてはいけません。あっしが付いてますから、ぼっちゃまには、あっしが付いてますから!」
