というわけで、俺は普段必要としていないパソコン君を使うことにしたのだった。

ディスプレイのふちをなでながら
「なぁ、パソコン。埃ばかりかぶっているのも辛かろう。ここはひとつ、俺のために働いてみないか?」
ってね。

いつもその存在さえ忘れられがちなパソコン君は、突然俺に触れられ、かなり慌てていた。

「え!?あ、これはこれはぼっちゃま、めすらしいですな、あっしに御用なんて。へへっ、ええ、やりますよやりますよ、埃をかぶってるより使って頂けるほうが嬉しいですからね、なんなりとね、ご命令ください。で、ぼっちゃま、いったい何をするおつもりなんですかい?」

俺はパソコンに告げる。

「旅だ…、俺はあるものを探す旅に出たい。」

おれの言葉にパソコンは少し驚いたようだ。
「へぇ、宝探しの旅ですかい。へ~、うん、いやいや、そいつは夢がありますな、さすがはぼっちゃま、へへっ、黄金かな、財宝かな、へい、わかりやした、あっしもお付き合いいたしますぜ」

こうしてあるものを探す旅は始まった。

俺とパソコンは船に乗り込む。
出航、それは電脳の海への出航だった。

ボンボヤージュ!