放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め

静寂がざわめきに変わるまで、さほど時間は要さなかった。

女子のひそひそ声が聞こえ始める。

「てか遠山、ビショビショ過ぎなんだけど」

「なんで、あいつ全身濡れてるわけ?」

「床に水たれてるし、ありえなくね?」

ひそひそ声だが、女子はもちろん遠山くんに聞こえるように言ってる…。

ブス軍団VS遠山くんの構図再び。

“芥川戦争”再燃か!?


さすがにちょっと気が引けてる俺。
きっかけは俺がドアをノッキンしたせいだし。

なんとか事態を収集しなくちゃ、って思ったら大変なことに気が付いた。

遠山くん、ズボンの裾だけを入念に洗ったみたいで、気が付いていない。

遠山くんのうわばきには、なんと明らかに茶色い染みが…。

致命的だ!

これはまずい、ブス軍団にこの事実を知られれば、
“遠山臭い”コールは確実。

俺のせいで遠山くんの心の傷が増えてしまう!

阻止せねば!
そんな悲しいことは、なんとしても阻止せねば!