4月の終わり、まだゴールデンウィーク前のことなんだけど、放課後の教室で亜希と2人きりになったんだ。

俺は部活が始まるまでの時間を、亜希は委員会が始まるまでの時間を、それぞれ教室でつぶしてた。

俺は携帯電話いじったりしてね、無関心なふりしてたけどさ、亜希のことすげえ意識してたの。

それまで亜希と話をしたことはなかったけど、気にはなってたんだ。

亜希は他の女子達とは違う雰囲気の娘だったからね。

浮ついたクラスの中で、亜希だけは地に足が着いてるっていうかさ。

亜希はそんな娘だったんだ。