放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め

母親とのハートフルな通話を終え、携帯の画面を見ると、新着メールが1通。

亜希からだ。

ニコラス・ケイジ号をこいでて気が付かなかった。

チャリンコ押しながらメールを読む。

亜希はどうやら、俺が午後の授業で元気なかったのを、心配してるみたいだ。

見てるね〜、亜希。好きなんだろうな、俺のことがかなり。
なんせね、俺と亜希はセクシャルな間柄だからな。
まあ、気になって当然だな。

叫びたいね。俺は叫びたい。
「俺と亜希はセクシャルな間柄で〜す!」
って叫んで、道行く人に知らしめてやりたい。

けど、そんな風に叫んだら危ない高校生だと思われちゃうから、叫ぶのはやめよう。

そうか、そうか、亜希は俺が心配か。
どれどれ、メールして安心させてやるかな。

“昼休み、先輩と、ちょっと。部活でて、汗流して、今は元気”

と、俺は返信。

亜希からすぐメールが返ってくる。
もう、すげえ好きなんだろうな、亜希は俺が。
なんて書いてきたのかな?

読んでみれば、俺のメールがカタコトであることと、チョリソー好きなんだね的な内容。

まあ…、俺が元気なのは伝わったから良し…。


う〜ん、でも結局なんも問題は解決してないわけだ。

亜希をヒイヒイ言わせるテクニックも見つからず、熊田先輩とも仲直りは出来ず、期末テストは1週間後にせまり、大会は2週間後。

やる事多いね…。

さすが思春期。

でも、今俺がまずすべきことは、チャリンコこいで家に帰ることだな。

俺は再びニコラス・ケイジ号にまたがり、薄暗い街を走りだした。