ハンドタオルを洗濯物に出し、バスタオルを左手首に巻いて弁当箱を水に浸けた。


水に流れていく自分の血液を眺めながら、美枝は服の下から右手を突っ込んだ。


太股辺りに、ざらついた感触があった。



アイツは死んだのよ……
もう、私を苦しめる事は無いの…


そう、私はもう自由だ。


ニヤリと笑った美枝は、視線を冷蔵庫に掛けた小さなコルクボードへ向けた。

其処には写真がびっしりと貼ってあり、全て同じ人間が写りこんでいた。


写真はハートに切り抜かれていたり、その人間と一緒に写っていた女性の顔が破かれ、その上から美枝の顔写真が貼られてるものもある。



笑顔で写るその人間を見た美枝は、華やいだ笑みを浮かべた。


そうよ、私はあなたを手に入れる事ができるわ。


だって、自由になれたのよ。





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