振り返った先に丁度在った冷蔵庫。有藤はここで初めてソレに気付いた。



冷蔵庫の扉に取り付けられたコルクボードに、隙間無く貼られた写真。

全ての写真に写る人物は、有藤が世界で一番知り尽した人物だった。


一枚外して、よくよく見てみた。

この写真はこの人が仕事の同僚と撮った写真だった。

美枝も写っていたが、後ろ姿だった。


しかもその人の腕を抱えて写っていた女性の顔の部分は何か刺して開けた様な穴が開き、それを塞ぐ様に他の写真から切り取った美枝の顔が貼られている。


その人の後ろでピースしている人の顔も、ズタズタに破れている。


その人と美枝が幸せそうに笑う不自然な写真。

コルクボードには似た様な工作を加えた写真が沢山貼られていた。



「…………」



もう一度、手元の写真を眺めた。

顔を切り裂かれて美枝の顔を貼られた女性の右手首には、シルバーの二連ブレスレットが付いていた。


写真を眺めていた有藤は、深呼吸をして呟いた。













「河野先生が、危ない」












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