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美枝は、身を震わせてソファに座った。

電子音を鳴らし続ける携帯、開けっぱなしのディスプレイ。


画面にはずっと待っていた河野の名前。



美枝は携帯を取る事が出来なかった。





壊れたのは、確かに12年前。


痛みに身をよじり、悲鳴を上げて逃げようとする美枝を押さえ付け、風呂場で父親は美枝を犯した。

10歳の子供には早すぎるその痛みを、父親は自分が満足するまで与え続けた。







美枝は、思い出した。



壊された瞬間を、壊した父親を。



















「いや、いやっ、いや! いやっっ! いやぁぁぁぁああ!!!ぁぁぁぁああっ!」















頭を抱え蹲り、美枝が出した叫び声は、家の外にまで響き渡った。

美枝は剃刀を手に取った。



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