彼女があの日、しゃべっていたのが
微かに聞こえた声から男の人だとわかっているから
僕はこんなにも臆病なんだろうか。

相手が電柱で見えなかったから
こんなに不安なのだろうか。

なんて無様なんだろう。

もがくばかりで、卑屈な殻を被ることに躍起になって

なにひとつ僕は変わっていない。
なにひとつ、理解していない。