「苗字変えてみませんか」 耳まで真っ赤になったのを覚えている。 ぐるぐると有りったけの言葉を選びつくし 寝返りを打った彼女に驚いて、全く候補に挙がらなかった言葉が飛び出した。 瞼を開けない彼女に、眠っているのだと安堵して少し落胆した時だった。 「変えてみようかね。」 其れは、なんの変哲もないサプライズもない告白だった。 あの日の約束を思い出し、僕はフッと笑う。