「…やばいな」

彼、安藤 竜也 (あんどう りゅうや)の言葉に顔を上げた。

照れくさそうに手でオレンジ色に染まった髪をクシャッとしている安藤君。

その仕草にまたドキン、と胸が高鳴る。

「…俺……、永田さんに喋りかけてもらえることなかったから…、好かれてるとか思わなかった」

そこまで言う安藤君の言葉に “やっぱりね” と、肩を落とす。

きっと振られるのだろう。

でも、…私の予想は遥かに超えていた。

「片思いかと…、思ってた……。俺も…好き」

安藤君ははにかんだ笑顔を浮かべた。

その笑顔に安心感からだと思われる涙がふわっと瞳に浮かんだ。


それが、私と竜也の付き合い始める最初の出来事だった。