穏やかな風が粒子状の砂を舞い上がらせ、見下ろす太陽は一面に広がる肌色の地を照りつける。




誰1人居ない、緑もないその砂漠の中央に建つ、巨大で古びた塔。


窓硝子は砂埃で汚れ、支える鉄は錆びきっていた。



塔の入口である大きな扉には何重にも鎖が巻かれ、頑丈に施錠が施してある。








雲一つ無かった青空に突然現れた一群の雲。


その雲が太陽を覆い尽くすと、静かなこの地に闇の帳が落ちる。




辺りが闇に染まったかと思うと、その錆びもしていない鎖が千切れ、どさりと音を立て地に落ちた…


落ちた鎖は粉々に粉砕し、初めからそこに無かったかのようにこの空間から消え去る。








そして、重い扉が開かれた…


軋むような嫌な音を立てて数ミリ開いたその扉…




風に舞った砂が吸い込まれるように扉の隙間をすり抜け…


曇った窓硝子には亀裂が入る…







何かに怯えるかのように風は唸り、粒子状の砂は逃げるように辺りに散らばる…






それは、1000年もの封印が解かれた証だった…