「お前の相手はこっちだ。」
「邪魔するんじゃないよっ!」
突然現れたヴェルディに一瞬驚きながらも、ロゼッタは怯む事なく鞭を振るう。
が…
「なっ、何っ!?」
振り上げた鞭を叩きつけようと試みるが、鞭は何かに引っ張られているのかびくともしない。
何が起こっているのかと振り返ってみると、そこには鞭の先をくわえ威嚇するように牙を剥き睨みつける真っ白な狼の姿があった。
「僕も忘れないでね。」
「糞っ!」
狼を召喚させたコウガは地面に広がった魔法陣の中で微笑む。
その余裕そうな笑みに苛立ちを覚えながら2人に挟まれた状態になったロゼッタは再びヴェルディへと目を戻す。
「………っ!?」
苛立ちと焦りの入り混じった顔をしていたロゼッタは、ヴェルディへと目を向けた瞬間大きく目を見開いた。
見開かれたピンクの瞳に映ったのは、陽の光を浴びキラキラと輝く龍の姿。
この氷でできた龍を創り出したのは、ロゼッタの前に立ちはだかったヴェルディである。
ヴェルディは右手を突き出し何かを呟くと、氷の龍わ雄叫びを上げ目を見開いたまま動かないロゼッタに襲いかかった。
物凄い音と共に冷気が辺りに広がり、ヴェルディのグレーの髪を揺らすのだった。

