「サンキュッ、兄貴!」
凍りついた鞭を見て、巨大な鳥の手を借り空を舞うリョーガは辺りを見回し親指を立てそう叫ぶ。
「何も考えずに突っ走るな……」
するとロゼッタに魔法をかけた張本人ヴェルディは表情を変える事なく小さく呟くのだった。
巨大な鳥はコウガの元へ舞い降りると、リョーガを地面へと放り投げる。
地に転げ落ちたリョーガは茶色い鳥を睨みつけるのだった。
「こんな魔法で終わるとでも!?」
怒りを露わにロゼッタは鞭を力強く地に叩きつけると、凍りついていたその鞭にひびが入り破片が飛び散った。
「ここは任せろ。」
「リョーちゃんはジゼちゃんを安全な所に連れて行ってあげなよ。」
「兄貴…コウ兄……」
氷の破片が舞う中、ヴェルディは力強く鞭を握るロゼッタを睨み戦闘態勢を作る。
ヴェルディの隣でコウガは緊張感もなく優しく微笑みリョーガの頭を軽く撫でるのだった。
頼りがいのある兄2人を見上げリョーガは決意したように一度頷くと、気を失った状態のジゼルの元へ走り出す。
「行かせないよ!」
リョーガの動きを見てロゼッタは鞭を振り上げるが、ロゼッタの前にヴェルディが立ちはだかった。

