女性、ロゼッタ・ミーディスは、高いヒールで先程ジゼル達が手向けたばかりの花束を踏みつける。
「こんな小娘がファントムの求める者だって!?ハハッ……笑わせるな………」
ジゼルを睨み言葉を吐くと、何が可笑しいのかわざとらしく笑って見せる。
笑ったかと思えば彼女は憎しみのこもった瞳でジゼルを見下ろし、右手を横に突き出した。
するとロゼッタの手の中には魔力で構成された黒い鞭が…
それを握ると小さな動作で鞭を操る。
「誰がこいつなんかに従うか………私がこの手で殺してやるよ………!」
目にも留まらぬ速さで襲いかかってきたその鞭は、ジゼルの細い体に巻きつくとその体を締め上げる。
「キャッ!」
「っジゼ!」
リョーガはジゼルを助けようと右手に炎を浮かべ走り出すが、ロゼッタはリョーガが近寄る前に鞭を引きジゼルを自分の元へと引き寄せた。
宙に浮いたジゼルを至近距離で見つめると、首を掴みにっこりと微笑む。
「……うっ………」
「あんたみたいな奴がいたら目障りなんだ。だから………この世から消えな!」
鞭で体を締め付けられ更に首を掴まれたジゼルは身動きも取れず顔を歪めながら無残な姿となった花束へと目を向ける。
微笑んでいたロゼッタは一瞬にして表情を変え、苦しむジゼルを睨みながら力強く放り投げた。
「…っ……!」
突き飛ばされたジゼルは近くの墓石に全身をぶつけ、苦しそうに唸ると意識を手放した。
俯くジゼルの後頭部からは、どくどくと赤い液体が流れ出る。

