「はい、ジゼちゃん。」
静まり返り重い空気が漂う中、明るい声を発し俯くジゼルに優しい笑みを向けたコウガ。
そんなコウガの手の中には彩とりどりに咲き誇る綺麗な花束が。
可憐な花々に目を奪われていると…
「そんな普通の花なんかじゃ面白んねぇ。」
呟きながら花に手を翳すリョーガ。
すると綺麗な花々が真っ赤に燃えだし、風を受けユラユラと揺れだした。
「お前、この町を燃やし尽くす気か?」
燃える花束を目に呆れたように言うヴェルディは更に手を翳すと、勢い良く燃えていた花々は凍りつき、氷の中で炎の花が踊っていた。
幻想的なその花束を受け取ると墓石にそっと手向けるジゼル。
胸の前で手を合わせると目を瞑り祈りを捧げた。
数秒後ゆっくりと目を開けそっと墓石に刻まれた文字に触れると後ろで待機していた3人を振り返る。
礼を言うように頭を下げるとにっこりと柔らかく微笑むジゼル。
その笑顔に頷くと行こうかと一言。
墓石に別れを言うと背を向けた。
すると…
「なんだ、死人ばかりじゃないか。」
物凄い轟き音と共に凄まじい突風が吹き荒れ、その強風に乗って女性の声が聞こえて来た。
強風に耐えながら声の方へ振り返ると、そこには赤黒い薔薇をあしらった帽子を右目を隠すように被った女性の姿が…
その女性の背後には、墓石が粉々に粉砕している…

