階段を上がり、自分の部屋の前を通過しリョーガの部屋の前へたどり着いたジゼル。
軽くノックし呼びかけるが、中からの応答はない。
ゆっくりと扉を開き、恐る恐ると言った感じで中を伺う。
部屋を見回していると、ベッドの中に毛布を頭まで被った人型の塊があるのを確認。
ベッドの傍に歩み寄るとその塊をそっと揺すり呼びかける。
「リョー、起きて下さい。」
「うぅん……」
何度も名を呼び身を揺するが、リョーガは唸るだけで起きる様子はない。
寝起きが悪いと言うのは本当のようだ。
「リョー………ヒャッ!」
毛布を体に巻き付け更に顔をうずめたリョーガにムッとしたジゼルは、丸まったリョーガを軽く叩く。
すると、それが嫌だったのかジゼルの手から逃れようと身を捻る毛布の中の塊。
不機嫌そうに唸りながら寝返りをうったその塊は、派手な音を立てベッドから転げ落ちた。
「いってー……」
体をぶつけたリョーガは乱暴に頭をかき身を起こすと、数回まばたきを繰り返す。
「………」
リョーガの瞳に映ったのは、驚きの表情を浮かべたジゼルの姿。
リョーガの下にジゼルの姿があって、リョーガがジゼルを押し倒している状態だった。
無言で見つめ合う2人…
互いに頬が赤く染まるのがわかる…
まだ眠っている頭をフル回転させ、状況を把握したリョーガは、とっさに飛び退きジゼルから離れる。
「ご、ごめん……」
「………いえ……」
壁に背をぶつけると、リョーガは我に返ったようにそう呟いた。
仰向けに倒れていたジゼルは身を起こし、恥ずかしそうに胸の前に手を組むとリョーガから目を反らす。
そして頭を下げ逃げるように部屋から出て行くのだった。
「……ハァー………」
ジゼルの姿が見えなくなり、部屋の扉が音を立て閉まると同時に片手で赤く染まった顔を覆い、大きく息を吐いた。

