愛は、カミソリを持ち出し、その白く細い手首を傷つけた。

スゥーッ……

痛くは無かった。

生々しく赤い線から、湧き水のように次から次へと流れ出す血液。

その血液は、一緒にストレスさえも流れていくような実感がわいた。

「あぁ、私生きてる。」

思わず呟いた。

そして、新藤が帰ってくる前に、手早く消毒しバンドエイドを貼った。

なんて言い訳しよう。

「転んだ」

で良いかな??

手をつくのに失敗してー…

とか言っとけば大丈夫だろう。

そして二時間後、仕事から新藤が帰ってきた。