【短】特等席


きょとんとしていた彼が、自転車のうしろに視線を移した。

「……だめ?」


「いや、……」

くりくりの目を細め、フッと息をもらした彼が、ゾクゾクしちゃうくらい色っぽい声で言う。



「いいよ」



彼はまるで、ひまわりのよう。


毎日、毎日、太陽ばかり見つめていた。


そして、そんなひまわりを眺めているだけのあたしは、ただの弱虫。


“こっちを見て”って言わなくちゃ、いつまでたっても気づいてはもらえない。


いつか、ひまわりが、足元に視線を落としてくれる日がくることを信じて。


あきらめないで想いつづける。

たった1パーセントでも可能性があるかぎり。



「じゃ、乗って」


「うん…っ」









【END】