【短】特等席


「やっぱり、こっちのほうが全然いい~っ!」

美佐子が頬杖をつき、ニッコリ笑った。


『やってくるの忘れた~っ。悪いけど写させて』

と美佐子にお願いされ、仕方なく課題のプリントを広げたあたしは首を傾げた。

「…なにが?」

「髪!」

「……紙?」

以前と何ら変わらない質のプリントを、あたしは顔の横でひらひらとさせた。

「ぷーっ!」

と、勢いよくふき出した美佐子は、

「なに?ふき出すほど面白い話?」

教科書片手にやってきた彼の腕を掴み、あたしの頭を指さした。

「大和も思わない?
こっちのほうが似合ってるって」

次の授業に使う教科書を忘れた美佐子のために、わざわざ自分の教科書を届けにやってきた彼は、

「あ、あぁ。そうだな。こっちのがいいかもな」

と言って、うんうんと頷いた。