【短】特等席


いつものように駅から学校までの道のりを、やっとの思いで歩いてきたあたし。

美佐子の姿をさがしたけど、教室の中には見当たらなかった。

矢野くんとどこかで話でもしているのだろうと、席についてぼんやりと窓の外を眺め、美佐子が戻ってくるのを待っていた。


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どこに行ったの~?

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机の上に鞄はあるものの、講習が始まっても美佐子は戻ってこなくて。

心配になったあたしは、先生の目を盗んで机の下でこっそり美佐子にメールを送る。

返事は一向に送られてこない。


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どこにいるの?

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何度となく送りつけたメールに、やっと返事がかえってきたと思ったら、


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体育館裏

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ただそれだけ。


慌てて体育館裏に向かったあたしの目に飛び込んできたのは、両手で顔を覆っている美佐子の姿だった。