【短】特等席


《大和に告白したいけど、いつも美佐子と一緒だから……告白できないんだ、って…》

《……少し、大和のこと…自由にしてあげても…いいんじゃないかな、って…。
ほら、登下校のときとかさ、1年に声かけさせてあげられるように…》


あたしが美佐子に言ってしまった言葉と、


“総一郎と付き合うことになったよ”


美佐子から送られてきたメールの文字が、一気に頭の中を駆け巡った。


「フラれたときに一緒のクラスじゃ毎日気まずいでしょ?だから、2年になって、もしクラスが別々だったら…。告白しようかな、なんて」

言いたいこと言って、やりたいことやって、いつも自分の気持ちに正直な性格の美佐子が、恋愛に関してはとても慎重だった。

矢野くんのことが好きだと打ち明けられてから一年。

美佐子はずっと、その気持ちを大切に温めてきた。

それなのに…。