「…あたしの、せい?」
さっきまでとは違い、声のトーンを下げた美佐子。
まるで、砂時計の砂みたい。
次々と、あたしの口からは言葉がこぼれ落ちていく。
「この学校を受験させたのも、今回の夏期講習のことだってそうだよ。
本当なら、大和が決めなくちゃいけないことなのに、ぜんぶ美佐子の都合で決めさせてる。
大和の気持ちなんて、まるっきりムシしちゃってさ。
…自分の言いなりになる大和が女々しく見えちゃうのは、…当然だよね」
心臓がドクン、ドクンと脈打っている。
伸ばしかけの前髪をかきあげた美佐子に見つめられ、思わず目をそらした。
「そっか…。そうかもしれないね」
美佐子はそう言って、くるりと体の向きを変えた。



