「おはようございまぁす。」
ファ…とひとつ大きなあくびをしながら仕事場に向かっていた。
「おぃ遅せぇぞ。」
「ふぃませぇん…」
そういうとロッカーに向かった。
爪は黒く染まっていて、前髪にオレンジのメッシュの入った女の子だ。


ここは天と地を結ぶ門の前。
正確に言うと、三途の川の門の前。


そして此処が犬井の仕事場。
体育館並みの広さに机がポツンとおいてあり、その奥にドアノブ式のドアがある。
そこの机の前で一人の男が机においてある小さなドラムカン型テレビを見つめている。
「おい、早く変わってくれ~。」
「はいはぁい…ちょっと待ってて先輩。」
そう言いながら犬井は早々に着替えた。

犬井の仕事は、地に向かっていく人を決める仕事。

天には『善』と『悪』の2種類の人がいる。
善の人…地(地球)で生きてた時に人を殺しもしないで、死んだ人。など、他人に害を与えないまま亡くなった人など。

の人と

悪の人…人を殺す。自分自身を殺す(自殺)した人など。

の2種類の人が天に集まっている。
そして、善の人は天から地に行くパスポートが与えられる。そのパスポートを持っていると、地で生きている家族や恋人を見に行く事ができる。

悪の人にはそのパスポートが与えられない。だが、悪の人にも家族や恋人がいる。どうしても見に行きたいがパスポートを持っていない。だから、門を無視して行こうとする。
その為の門番だ。

悪の人は地に居つづけると、だんだん容姿が変わっていく。
獣のようにだんだんと殺気を持つ生き物に変っていくのだ。