午前中の授業、特に城崎センパイと関わる事も無く、今まで通りであっという間に昼食の時間。
今日は桃にこれまでの事を相談したくて、屋上にゃって来た。
別に口止めもされてないし、桃が人に話すとも思えない。
『へぇ〜ラッキーじゃん。』


重いトーンで話したつもりが、桃のこの言葉によって、今まで笑い話をしていたかの様な空気に。


『どこがだよ〜。
今まで、白馬の王子様だと思ってた自分が憎らしいくらい…学校以外では王様みたいな顔してんの。

あんなの詐欺だよ詐欺。』


久しぶりに自分で作ってみた弁当を頬張りながら、もはや目茶苦茶に言ってやる。



『おい、誰が詐欺だぁ?』


なっ。
『御主じ…センパイ。』

(どっから…)

『おぉ〜生徒会長サンだぁ。噂をすればなんとやら、かな?』
桃は初対面にして軽い反応

王様は、私の隣にしゃがみ込む。

『昼は何時もここなんだよ。つか、てめぇ、俺の弁当は。』
『あぁっ!』

そうだ。朝ご飯運ぶのに頭がいっちゃって、すっかり忘れてた。

『自分の作っといて、人のを忘れるか?普通。』

『…コレ、食べます?』

私の弁当箱を覗き見て、呆れたように横になる。

『大丈夫なのかよ…ソレ。』

見た目や味がアレなのか、毒でも入ってるという意味か、
少なくとも良い意味ではない事は確かだろう。


ここで引き下がるのも、コチラが負けたような気がして嫌だ。
こうなったら無理にでも食べさせてやるんだから。


『俺は一流シェフが作った料理しか食べな…んぐっ!』

お箸の裏を使って押し込んだのは、特製の卵焼き。秘伝レシピの甘醤油によって、程よい風味に仕上げた自信の一品。


『ん…んまい。』

『食わず嫌いはいけないですよ。』

意外に素直な反応…どうだ、と見返してやった満足感もあるけど、正直、嬉しく思う。

この言葉を良い事に、
そんなこんなで半分以上のおかずを食べ尽くされ昼食は終了。



意外に子供っぽいぞ、王様(笑)