『早速ですが、制服になります。』
畳まれ、白い布に包まれているソレを取っていくと、顔を出したのは予想通りメイド服。
一回着てみたかったんだよね〜
願望が叶えられるとあって、自然と頬が上がる。


『仕事内容をご説明しますので、どうぞこちらへ。』

今の部屋から出て、先程以上に
家具小物等、隅々まで高級感漂う、応接間らしい部屋へ通される。

細かい刺繍が施されたふかふかのソファーに座るのを確認して、矢竹さんは話を切り出した。

『すみません、メイドなんて…』

いきなりの謝罪。
深々と頭を下げられる。

『か、顔を挙げてください。どうしたんですか?』


『私は、このぉ屋敷の主人、生憎今は海外へ仕事に出ておられますが、直人さんの専属メイドをしております。

直人さんと花梨さんのお父様は大の親友であると同時に、花梨さんのお父様はライバル社にも関わらず、何度も我がグループを立て直して頂いて…

その協力が無いと、ここまで発展していないと言っても過言ではありません。

そのため、こちらとしては
少しでもお力になれることはゃって、せめてもの恩返しをさせていただきたいのです。
直人さんが借金を払うとおっしゃったのですが断られて。

坊ちゃまの独断で、花梨さんを働かせる等もっての他なんですが…

両親共々海外へ出掛けてることが多く、坊ちゃんは幼いときから一人ぼっちで、きっと、貴女が来てくれた事、1番喜んでたんじゃないかと思うんです。

ずっと側に居て、見てきたから、なかなか言えなくて…どうか坊ちゃんの事、お気を悪くしないで下さい。』


あの、ひねくれた性格はここがルーツなんだ。…

『成る程、分かりましたよ、矢竹さん。』


考えてみれば、元々は憧れのセンパイだった人。
その人のもとで働けるなんて、寧ろ光栄じゃない!


『ありがとうございます。
…では、明日から坊ちゃま専属メイドとして、働いて頂く事となります。5時起…』



それから1時間ほどみっちり、仕事内容、注意点等の説明は続いた。