翌朝。
気持ち悪いぐらいグッスリ眠れ、目覚めもスッキリだった。
このベンツとも、おサラバかぁ〜と思い、色々触りながら登校。

降りるといつもの赤絨毯が広がっていた。
これは私のではなく、この学園の王子様、城崎優のもの。

家が世界的なグループの代表らしいけど、そういう事は、あまり興味ない。

甘いルックスと優しい声で学園の女子は殆ど城崎センパイにメロメロ。

実は、私もその一人だったり。

絨毯に沿うように並び、黄色い歓声が飛び交う。
朝っぱらから五月蝿いだろうに、
きちんと笑顔で、手まで振ったりして受け答える城崎センパイ。

流石生徒会長。

でも、その大衆には決して交わらない事にしている。
叶わない事くらい、分かってるから。


ただ、ここから1秒でも眺められる。それだけで、1日学校生活が送れる。
それだけで、私は満足。

『…きもい、、かな?』

『うん、キモい。』

昼休み食堂にて。
クルクルの髪、ロリの顔。いかにも御令嬢って感じのこの娘は私の友人の春日桃。
ロリコン親父の親バカ心から始まったセキュリティーシステムで成功している。

『そんなハッキリ言わなくても』

有名シェフが集まるこの食堂の名物、エクレアをほうばりながら嘆き訴える。


『何?あんた城崎と話した事あんの?』

『う…』
正直、話した事は無い。でも、入学式の日…

その日、寝坊してしまった私は息を切らせながら教室に向かってた。

(もうっ正門から校舎遠いっ!)

階段に上り、もぅ全力で走り続け、気も朦朧とし、ハンカチを落としてたのも分からなかったのだろう。

『ちょっと!ハンカチ、落としたよ。』

声のする方に振り向くと、とても綺麗な人が私のハンカチを渡してくれる。


バッキューン(?

か、カッコイイ。。
(でも今は、取りあえず、行かなきゃ。)

呼吸するのでいっぱいいっぱいな口ではろくにお礼も言えず、
既に棒の足で思いっきりダッシュした。

コレが、私の初恋。

その人がこの学校のアイドルなんて知ったのはその後の事。

『無くて眺めてるだけなんて、脈ゼロゼロ♪早いとこ見切り付けて男つくんなよ?』

『う〜ん…』
見切り付ける…か。