最後の願い





「なぁ・・・俺のことおぼえてる・・・?」



俺は
未来の瞳を
見つめながら言った。


ゆっくり
未来の頬に触れながら・・・


ビクッ・・・!!



未来の
体が反応した。




「やっぱり・・・お前怖いんだろう・・・?」



俺がそう言うと
未来は涙を流し始めた。



また
左の耳たぶを
触っている。



「あたし・・・中学のとき・・・レイプされて・・・どうすればいいかわかんなくて・・・汚されたことを消すためにまた男とやって・・・それでもやっぱり思い出して・・・やった後に独りなんだって実感して・・・もうどうすればいいかわかんないよぉ・・・」




未来は



高校に入って
初めて話す俺に
すべてを話してくれた。




涙を流し終えた
未来の瞳には
もう迷いもなく





携帯電話を出して
男の電話番号を
すべて消していった。



「これで・・・あたし新しくなれるんだ。」



ありがとう・・・



未来は
あの時と変わらないぐらい
きれいな笑顔で
俺に笑いかけた。