戸惑う僕に彼はもう一度言った。 「沙耶。」 今度はさっきよりはっきり。 意味は分からないけど、それに反応出来ない自分がなんだか申し訳なく感じる。 「にゃーぁ…」 何かを返したくて、応えるように彼に向かって鳴いてみる。 すると、必死なその鳴き声が聞こえたのかいきなり近くなった彼の顔。 僕の前にしゃがみ込むと真っ直ぐに見て来る。