「ドーラに竜が出たのか?」


 興味本位の質問。


 ファイアルにいる竜の一匹でも迷い込んだのだろうか?


「あぁ、なんでも、その竜、ドーラの汚染された空気を吸い込んで、おかしな方向に変化しちまったらしいぜ。汚竜と、呼ばれているとか・・・」


 汚竜・・・ね・・・。


 大気汚染が、野生動物に何かしらの影響を与えるという例は聞いたことがあるが、まさか、モンスターの中でも最強クラスである竜まで影響を与えるとは・・・。


 一体、どんな性質を持って、どんな特徴をそなえ、体内では、どのような化学変化をもたらしたのか・・・。


 ・・・・研究の価値はあるな・・・なんとか、生け捕りに出来ないものだろうか・・・?


 竜に関する研究はファイアルの連中が、押さえ込んでいて、中々できないんだよな・・・。


「まったく、産業ばかりにかまけているからだ。自業自得だろ?」


「そうだな。これで、ドーラの連中も目を覚ますだろうよ。ハハハ・・・」


 町人がそんな言葉を話す横で、グストは考える。


 竜だろう?・・・竜・・・とりあえず、生命体である以上、表面がいくら硬くとも、内側から攻撃すれば・・・とはいえ、まず内側を傷つけては、研究のさいに邪魔になるな?


 麻酔が通用してくれるなら、麻酔をかがせ・・・しかし、竜にどれだけの麻酔をかがせればいいのか・・・いや、だいたい、どうやって、暴れまわる竜に麻酔を嗅がせればいいのかが分からないな。


 それに、眠らせたところで、どのように、保管するかが問題だな・・・下手に目覚められたら厄介だし・・・。