「だったら、とりあえず一度、フーガに移動したら?今から帰っても、アイスラは冬でしょ?」
確かに、寒い時期のアイスラは外部からの人間が来るところではない。
吹雪だってあるし、道だって凍っている。
雪が積もっていて、歩きにくいコトだってある。
「正確には、『もうそろそろ冬になる』・・・頃だ。今の時期を外したら、半年は帰れないぞ。」
もっといえば、グストとララだけなら、冬だろうがなんであろうが、関係ない。
元々、二人はアイスラの民。
雪道も慣れているし、寒さにはめっぽう強い。
なんとでも、生きていける手段は持っている。
「・・・それもそうね。よく考えたら、私もそれを見越して、ライスト国に来たのだし・・・」
偶然、グストと出会って、仲間になったが、元を正せば、彼女は彼女で実家に帰る予定だったらしい。
ここには、帰る際に必要なものを買い揃えるためによったとか。
「ということだ。リン、旅に出るぞ。」
「それはいいのだが、アイスラは寒いのだろう?私は寒いのは嫌いだ。」
「だったら、ここに置いて行く。」
「意地悪だな・・・。」
・・・と、いうことで、ララとグストとリンは、アイスラに帰るための旅支度を始めることにした。
結局、リンの貰い手を捜すために、ライストに寄ったというのに、完全に無駄足になってしまったことは否めない。
仕方ないのだろう。
・・・もし、運命と言うものがあるなら、それによって出会った人間は、そう簡単に断ち切れるものではないのだ。