時は遡る。


 ラグストールと別れたグストとリンとララが取った行動は・・・。


「とりあえず、アイスラに向かうか・・・」


 という結論だった。


「リンちゃんは?」


 ララの当然の質問。


「向かいながら考える。」


「そんな、いい加減な・・・」


 そうだろうな・・・アイスラは、他国に比べて貧しい国だ。


 一年の半分を雪と氷で閉ざされる、北の国、アイスラ。


 農作物や漁も、夏の間にしか出来ないため、絶えず計画的に食料を保管しながら生活しなければ、あっという間に餓死してしまう。


 当然、身寄りのない子供を預かる余裕など、あの国にはないのだ。


 それでも、グストとララが生まれ育った地。


 愛着だってあるし、他国にはない、いい所だってたくさん知っている。


「元より、旅の執着地点はあそこだ。知り合いの伝手もまったくないわけではないし、あそこで何とか、リンの貰い手を捜そう。」


 というよりは、ライスト国を早く抜け出したい、という考えもあった。


 ここにいるだけで、本当に様々なことに巻き込まれた。


 ドクターの家での緊急手術。


 ギル君を中心に起こった、火事騒動。


 英雄と勘違いしてきたラグストール。


 これ以上、この国にいて、おかしなことに巻き込まれたら、溜まったものではない。