「・・・・・・そんなことしないよ。」


 ララは静かに口を開く。


 そして・・・


「そんなことしないよ。グスト。私だって、あのババアと、クソアニキには恨みしかないんだから。そんなことする分けないよ。・・・・くそっ!ただでさえ、憎いやつだったのに、私の大切な人たちまで殺すなんて・・・。」


 口にしながら、ララは再び涙を流す。


 その顔はもうグチャグチャで見ていられるものではない。


「・・・・・それが、お前の本心か?」


 黙って顔をうつぶせたまま、ララはクビを縦に振った。


 そして、そのまま言葉を続ける。


「辛かったのよ。あの家にいるのが。ババアは私の若さと美貌に嫉妬して、愛情をこれっぽちも注いではくれなかった。クソアニキは、何を考えているのか何度も、私の寝室に忍び込んできた。狂気と恐怖しか、あの家にはなかったの。」


 富と名誉を思うがままにする貴族階級。


 その暮らしは不自由がない代わりに、退屈らしい。


 不倫、浮気、スキャンダル。


 金と名誉があるやつは、どこにいても、ろくなことをしない。