「グスト?どうした?」


 リンに袖を引っ張られて、我に返る。


「あ、あぁ、いやなんでもない、偶然だな。偶然。それより、ここがダメだとするとどこに行けばいいのやら・・・?」


 グストは頭を捻る。


 ここ意外にあてがあるかといえば、正直ない。


 まさか道行く人を捕まえて、『この子を預かってくれませんか?』とはいえない。


「とりあえず、孤児院はここだけではないのだし、少し情報を集めるとするか・・・。」


 でも、どこから・・・。


「とりあえず、ホテルに戻ったらどうだ?あのギルというヤツなんだろう?ここの火事の原因は?」


 ?


「まぁ、確証はないが、そうらしいな・・・?」


「だったら、一度とっちめてやらんとな。」


 腕をバンバンと叩き、気合を入れるリン。


 その顔はやる気満々。


 ・・・・・・・・・・。


「お前、ただ、ケンカがしたいだけじゃないのか?」


 何となく思った。


「そんなことはないぞ。さぁ、分かったら、ホテルに戻るぞ。」


 ・・・まぁ、他に行くあてもないし、酒場で情報を集めようにも、昼間から酒を飲むような輩の言葉は信用できない。


 多少の寄り道も悪くないか。


「分かったよ。どうでも良いけど、お前って絶対、ファイアルの民だよな?」


「?なんだ、ファイアルって、私は人間だぞ。」


 ・・・そうだな。でも、一度機会があるなら、降魔師に見てもらいたいものだな。


 これで、こいつが、フーガやアイスラの民だったら、面白いのだがな。


 そんなことを思いながら、グストとリンはホテルに戻っていった。