「どういうことだ?」


 さすがに、気になって、質問してみた。


「ん?あんた旅のものか?知らないのか?ここの孤児院の院長、降魔師だったらしいのだけどな、世界中から孤児を集めて、魔法に目覚めさせていたらしいぜ。」


 髭オヤジが、ささやき声で言う。


「片づけしているときに、地下施設が発見されたんだけどな。その目的が、何でも魔王復活だとか、恐ろしいよな。」


 別の野次馬からの言葉。


「あ、そうそう、魔王復活といえば、先日燃えた劇場も、あれ、とある裏組織と繋がっていたらしいぜ。やっぱり、火事の後の片づけをしているときに、その形跡が見つかったとか・・・。冗談じゃないよな、15年前に復活したばかりだと言うのに、まだ懲りないのかね?本当に。」


「え?ってことは、あの貴族のガキ、もしかして狙って放火してるのか?」


「まさか、偶然だろう?あんな子供にそんな分別できるかよ?」


 ・・・・・・・・・・。


 後半の言葉はよく頭に入ってこなかった。


 信じられなかった。


 そんな偶然が、起こるのだろうか?


 魔王復活、オカルト組織。


 資金源、世界の破滅・・・。


 それを止めるべく現れる・・・勇者・・・英雄・・・・・・。


 ・・・『俺は英雄になれると思ってない。だけど、英雄にかかわった人間として、歴史に名を残したいんだ。』


 ラグストール・・・お前は、本当に歴史に名を残せる存在かもしれない。


 それは、英雄にかかわったという、小さな存在ではなく・・・。


 もっと大きな・・・。





 ・・・そう、勇者の父として・・・・・。