「本当に、アイスラ人って言うのは、イヤミな連中の集まりだな、馬があわねぇぜ。」
・・・なんとでもいってくれ。
「夢物語にもほどがあるからだ。俺は、この子を預ける場所を見つけたら、アイスラに帰る。それで、旅は終わりだ。」
「・・・・え?一緒に行くんじゃないのか?」
おい、こら。
「この街に入る前に、話はしただろう。」
「でも、一緒に行くだろ?ドクターだって言っていたじゃないか?」
「・・・・・・とりあえず、その話は、後でしよう。」
とりあえず、今はラグストールとの会話を終わられることの方が先だ。
「いいのか?」
ラグストールの確認。
「とりあえずはな。それで、分かっただろう?俺の旅はもうすぐ終わる。これでもお前は俺を英雄と呼ぶか?」
「『もうすぐ終わる』だけど『終わった』わけではない。可能性はあるだろ?俺はさ、英雄になれるとは、思ってないんだ。だけどよ、英雄にかかわった人間として歴史に名を残しておきたいんだよ。」
「貪欲だな・・・それだけの地位があれば、十分残るだろう。」
これだけの高級ホテルに泊まり、ファイアルの民としての地位も持っていれば、十分だと思うぞ。
「そりゃ、家の名前は残るかもしれないが、そんなもの家の名前で俺の名前じゃねぇ。面白くないだろ?そんなもの。」
こいつは・・・。
「だったら、勇者でも捜せ。俺が英雄だというのなら、いるんだろう?俺を導く勇者とやらがどこかに?」
夢見るのは、勝手だが、それに他人を巻き込むな。
悲劇は15年前に起きた。
その世界を救うために、精一杯戦った6人の英雄がいた。
十分だ。


