「ハッハハハ、ギルのヤツはこれから稽古を三倍に増やさないとな。グストだったか?お前か、それかリンちゃんか、どっちかは分からない。もしかしたら、両方かもしれない。だが、俺はお前たちを、『英雄』になる存在ではないかと思っている。」
ラグストールの言葉は、現実味がないにもほどがあった。
「馬鹿馬鹿しいと思うが、それを否定したら、話が進まないから、とりあえず、そこは置いておこう。だが、英雄が生まれる背景には、必ず世界の危機がある。この平和な世界のどこに危機があるというのか、そこを知りたいものだな。」
4英雄の時代、6英雄の時代。
ともに、魔王復活という、世界の危機が訪れた。
英雄というのは、必ず世界を救うために現れる。
逆を言うなら、英雄がいる背景には必ず世界の危機があるのだ。
「そんなもの俺が知るかよ?また、魔王でも復活するんじゃねぇのか?」
・・・こいつは・・・。
「はぁ、馬鹿馬鹿しい。15年前の出来事だ。わずか15年だ。それで世界の危機が訪れたら、それはもう、どうすることも出来ないことだ。」
「そのどうすることも出来ないことを、どうにかするために英雄と勇者は現れるんだろう?お前、馬鹿か?」
こいつは・・・。
「分かったよ。せいぜい、その勇者とやらとめぐり合えたら、お前にも教えてやる。」
魔法、剣術、格闘術。
ファイアルの民をパーティに入れて、損はないだろうからな。


