「現実味が薄すぎる。俺は魔法も使えない一般庶民だ。オマケにアイスラ国の出身で、戦闘経験なんて、まったくないに等しい。」
「6英雄だって、ファイアル出身者はわずかだし、元々、魔法が使えた人間なんてごくわずかじゃねぇか?」
確かに、奴隷やら、モンスターやら傭兵やらの混成パーティ。
最初から、魔法が使えるものがいたら、せいぜい、風の精霊「貴族リリス」と光の精霊「王子アリス」ぐらいだろう。
だからといってだ。
「馬鹿馬鹿しい。」
そんな言葉しか出なかった。
「無論、可能性の話だ、もしかしたら、お前ではなく、そこに座っているお譲ちゃんが英雄という可能性もある。」
は?
「リンが?」
グストは、そこで隣に座る女の子の頭に手を乗せる。
無論、ないと思う。
だけど、
「ん?私がどうかしたか?大人の話には口を出してはいけないんじゃなかったのか?」
そうではあるが、コレは、お前にも関係ある話なんだよ。
「土の精霊と同じ名前か、良い名前だな。俺もギルに『アキラ』ってつければよかったな。」
そんな話はどうでも良い。
「こいつは、そんな英雄なんてガラではない。」
「そうか?未熟とはいえ、剣を持ったギル相手に、一歩も動かず勝利したのは、さすがだと思うぜ。」
「偶然だ。」
「偶然じゃないぞ。あいつは弱かった。」
こら!親御さんを前に何を言う!


