「自己紹介がまだだったな。俺は、ファイアルの貴族『ラグストール』だ。名前ぐらいは聞いたことあるんじゃないのか?」


 とりあえず、座れといわれたので、グストとリンは隣り合って、ラグストールの向かいの席に座る。


 ふかふかのソファーに、落ち着きを持たないリンが見ていて、面白かった。


 しかし、ラグストールか。


 確かに、噂程度には聞いたことがある名前だ。


「アイスラの地にはファイアル人の悪い噂しか届かないさ。だが、名前ぐらいは聞いたことがある。」


 力だけが全てというファイアルの地。


 そこでも、最強の力を持っていると噂される、ラグストール家。


 黒い噂もチラホラ聞くが、とりあえず、本人を目の前に話す事ではないだろう。


「でかい態度の男だ。貴族を前に敬語ぐらい使えないのか?」


 言ってくれる


「あんたが、ファイアル人でなければ、考えてやる。」


 とは言え、元々グストは、滅多なことでは敬語は使わない。


 ポリシーみたいなものだ。


 尊敬に値しない人間には、敬語を使わない。


 あまり、頭のいい生き方とは言えないが、曲げる気はなかった。