「一歩も動かず・・・か。あんた、あの子にどんな教育をしてるんだい?」


 見学者となっている親に聞かれた。


「いや、あいつは俺の子供ではないので・・・。」


 ドクターのときもそうなのだが、俺があんな大きな娘を持っていると思われることは心外なのだが・・・そんなに、俺の顔って老けているか?


 これでも、21歳だぞ。


「くそぉ・・・女のクセに・・・」


 悔しがるギル君。


 吹き飛ばされても、涙の一つも流さず、立ち上がるところは立派だといってあげよう。


「お前、人間のクセに弱いな。グストの方が何倍も強いぞ。」


 これで、勝利と言わんばかりに、パンパンと、手を払うリン。


 増長するな!バカ!


 それと、お前とケンカなんてしたことなかっただろう。


「ふざけるな!こうなったら、とっておきだ!“炎”」


 冗談!あのギルって子、街中で呪文を唱えやがったぞ。


 昨日、あんな事件があったばかりなのに。


 地面から火柱が上がる。


 その炎は一直線に、リンの元に・・・。