「魔法を覚えたてというのは、何かと使いたがるからな・・・ファイアルの貴族様が、わざわざ、この地に訪れて、息子に魔法を覚えさせたのだよ。しかし、扱いなれない魔法だからな。」


 なるほど、それで公演中の劇場が燃え上がったというわけか。


 単純明快、力こそが全てと考える火の民俗、ファイアル。


 ゆえに、彼らの使う魔法も単純明快。


 炎を繰り出す。


 その一点。


 無論、極めればその炎を自在に操ることも出来、いかようにも転用できるが、子供がそんなことを出来るはずもない。


 遊び半分で出した炎。


 それが、コレだけの被害を生んだ。


 ・・・これだから、野蛮人だと呼ばれるのだ。


「それでも、そいつは後に戦士と呼ばれるようになるのだろうな?」


 その事実がとても、忌々しかった。


 どれだけ訓練をつもうと、貴族には勝てないファイアルの民。


 どれだけ勉強をしても、決して医者になれない、アイスラの民。


 所詮、この世界は金なのだ。


「そうだろうな。その貴族の子供も、憲兵が一度取り押さえたものの、相手が他国の貴族というコトと、死人が出なかったというコトで、お咎めなしだそうだ。」


 コレだけのけが人を出しておきながら、お咎めなしか?