「分かっておるわ。それより、飯にしようではないか?お譲ちゃんも、すまなかったな。お父さんをここまでこき使って。」


 お父さん?


「何を言ってる?私のパパは、死霊の山の中に・・・」


「なんでもない!」


 リンの言葉をグストがさえぎる。


 ドワーフに育てられたなどと、あまり知られてはまずい。


「?」


 不思議な顔を浮かべる医者と看護婦。


「いや、こいつは俺の娘ではない。旅の途中の拾い物だ。」


 とりあえず、そんな言葉で誤魔化しておいた。


「そうか・・・。まぁこんなご時勢だからな。とりあえず飯だ。大したものは出せないがご馳走しよう。せめてものお礼だ。」


 言うと、医者はこちらだと、診療所の奥にある、居住スペースに案内してくれた。


 看護師はこれで失礼しますと病院を後にする。


 どうやら、同居しているわけではないらしい。


 それから、しばらくして、出てきたのは、スパゲッティにサラダ、ベーコン焼きなどと言った、たいそうな料理だった。


 いただきますも言わずに、出てきた料理にかぶりつくリン。


 こいつ、フォークとスプーンの使い方を教えただろ?


 手で食うな!はしたない!