「痛い、いたたた・・・」
お前、男だろう?少し黙ることは出来ないのか?
「ちょっと、どこ触ってるのよ?」
死にたくなければ、その程度は我慢しろ。こちらだって、そこまで気を使えるものか?
「足が・・・足が・・・」
お前の足は無傷だ。いったい、なんの幻惑に捕らわれている?それより腕を見せろ。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・こうして、5時間後。
「・・・終わったか?」
最後の患者の面倒を見終わった後、日はすっかり暮れていた。
いつの間にか、身体には汗がにじんでいる。
これほどに、緊張したのはどれぐらいぶりだろうな・・・。
「グスト、お前凄いな。」
リンがそういってきたので。
「ガキに褒められても嬉しくないぞ。」
そう返したら、頭を殴られた。
「すまなかったな。旅のもの。」
主治医の方もようやく、仕事が終わったようで、顔を出す。
その顔は、全身真っ白の髭に白髪の老人。
白衣に身を包みながらも、手術後というコトもあり、ある程度の汚れが目立った。
「仕方がいないだろう?医療は、アイスラの特権だ。」
だが、報酬は頂くぞ。という言葉だけは忘れない。
これが、ただ働きだったら、グストだって黙ってはいない。


